特別対談「多世代がにぎわう街、守口・大日」
大日を守口の副都心に
西端 この20年で大日は様変わりしましたね。
田中 かつて、大日駅前には広大な三洋電機の冷蔵庫工場がありました。工場跡地を含めた約80㌶に及ぶ周辺地域を再生すべく、守口市、大阪府、都市基盤整備公団(今のUR)、大阪モノレール、三洋電機からなる「大日副都心整備推進機構」ができました。元々、守口市の中心は京阪電車の「守口市」駅。大日も谷町線とモノレールが延伸し、国道1号線、近畿自動車道、阪神高速もあって交通の利便性が高い。「ふれあい・にぎわい・潤う新都心、大日」をテーマとして大日を守口市の第二の玄関口にしようという計画でした。
西端 今では大日駅前を中心とした広範囲でにぎわいを作ることができています。
田中 「マンションを作って終わり」ではなく、市民の皆さんの「ふれあい・にぎわい・潤い」をどうやって創出するかを考え、イオンモールさんと一緒になって開発をしてきました。老若男女が集い、ショッピングや食事、そして映画も楽しめる。イオンモール大日は西日本でもトップレベルの集客があるそうです。
西端 大日の新たなスポットとして2020年にオープンした守口市立図書館にもぜひ注目していただきたいですね。今まで守口市は大阪府内で唯一、公立図書館がない自治体でしたが、図書館と生涯学習施設を併せ持つ近代的な公共施設ができました。乳幼児から高齢者まで多世代が集い、学び、交流する滞在型の図書館になっています。
また、屋外でも本を読める環境を作ろうと図書館の裏にある大日公園の再整備工事も進めており、今年3月に完成予定です。
モノレール延伸でさらに便利に
田中 モノレールの東大阪市への延伸にも期待をしております。今まで、近鉄奈良線から大日に行くには、大阪市内に出てぐるっと回ってこないといけませんでした。それが「(仮称)瓜生(うりゅう)堂」駅(東大阪市)で近鉄奈良線からモノレールに接続されると大日がかなり近くなります。
西端 延伸計画では、門真市駅と門真南駅の間に中間新駅が設置される予定です。守口市では南部エリアの交通アクセスが課題だったのですが、中間新駅は来年開業する大型商業施設の最寄駅にもなりますし、田中さんが仰るように奈良方面からお越しになる方も多くなりますね。
田中 さらに、モノレールが堺市まで延伸する計画が浮上しているのには驚きました。私が「大日副都心整備推進機構」の会合に参加した当初に、「南海まで接続できたら大阪空港と関西国際空港がつながる」と皆で言っていたのですが、本当に夢が実現するかもしれません(笑)。
多世代共生の街
田中 西端市長の目玉政策と言えば、やはり0歳児からの幼児教育・保育の無償化ですね。効果はいかがですか。
西端 私が市長に就任する前の守口市は、財政的に逼迫(ひっぱく)した状態でした。そこで徹底した行財政改革を断行したほか、小中学校の統合や公民館などの施設の集約化などを進めたことで、市の財政状況を改善させました。
そうしたことで、他の自治体に先駆けて「0~5歳児の幼児教育・保育の無償化」を実現できました。本施策のおかげもあってか、近隣の自治体が人口減少する中で、守口市の人口は微増しています。子育て世代が中心となり、住宅購入者が多いのが特徴です。行政として必要な所への投資は必要だなと常々感じています。
田中 住宅を購入される方が多いのは、アクセス良好で利便性が高い割に東京や大阪市内と比べると価格が割安な点が挙げられますね。われわれもこれまで「サンマークスだいにち」などファミリー向けのマンション開発や「サンフレンズ保育園」の運営により子育て施策への貢献をしています。そしていよいよ大日再開発の総仕上げとして、シニア向け分譲マンションが来月完成します。
健康寿命を延ばす
西端 シニア向け分譲マンションの販売は、守口市にお住いの高齢者の方にとってもありがたいことですね。「人生100年時代」と言いますが、私は健康寿命を延ばすことが何よりも大切だと思っています。守口市では「カラコロ体操」というご当地体操も各所で行われています。市民の皆さんが元気で自分のことが自分でできるような100歳を迎えていただきたいなと願っております。
守口市独自の高齢者施策をこれからも充実させていこうと考えております。個人的には、カラオケやグラウンドゴルフなど高齢者に一日中体を動かしてリフレッシュしてもらえるようなレクリエーション施設があれば楽しいだろうなと考えています。
田中 その受け皿となるのがわれわれのシニア向け分譲マンションであると自負しています。専用レストランに大浴場、リハビリステーションにカラオケも併設しております。私自身も立派な高齢者ですが(笑)、日本の高度経済成長を支えてきたシニア世代の方に、「本当に自分のやりたいことを実現してほしい」という思いがこのマンションに込められています。今のシニア世代は本当に元気でエネルギッシュ。煩わしい家事などはわれわれが引き受けさせていただき、ご自身の趣味や余暇を思いっきり楽しんでもらえる環境が整っています。
西端 私も少し興味がありますね(笑)。電車で都心や空港にも行ける。車でも高速のインターがあってどこにでも行ける。大日は今でも十分便利な場所ですが、さらに将来のポテンシャルもある。このように守口市はアクセス面において非常に優れているのですが、他市の方に魅力が十分に伝わっていないことは感じています。行政としてこれからもっと市外にもアピールしていく必要があると考えております。
歴史を知り、未来の守口へ
田中 私も守口市にはかなりの思い入れがありますが、歴史は大切にしていただきたい。東海道は五十三次で終わるのではなく、本来は五十七次であったことが分かっています。伏見、淀、枚方、そして守口が最後なのです。なぜ五十三次になってしまったかというと、伏見から守口、大阪城に入るには淀川が並行しているため、「大阪城に行く時は船に乗れば楽である」ということになり、この4宿場町は行きだけ泊まる片宿となってしまいました。
西端 守口市には今でも約650㍍の文禄堤(ぶんろくつつみ)が残り、歴史的な建造物が当時の面影を伝えています。その中の一つ、旧徳永家住宅を今後改修し、歴史と観光の拠点として保全・活用できるように今検討を重ねているところです。
田中 ぜひ期待しております。子どもからシニアまで全世代がふれあい、にぎわい、潤う。われわれはそんな21世紀の新生活空間を創っていくことで守口市にさらに貢献していきたいですね。
※週刊大阪日日新聞2月26日号掲載